小林敏明教授の「ライプツィヒの街から 27 リッピのマドンナ」

こんばんわ!モンです

 

寒い雨の一日となりました本日、ドイツの小林教授からレポートが届きました!

ドイツはもう春なのでしょうか?まだ寒いのでしょうか?想像もつきませんが、今回のレポートは、教授とお嬢様のイタリア・ルネッサンス美術鑑賞旅行の話です。

 

それでは、教授!本日もよろしくお願い致します!!!

 

 

 

リッピのマドンナ

 

引きこもり老人の僕が思い立ってイタリアへの列車旅行を企てました。

しかも娘を誘っての二人旅です。まずライプツィヒから5時間余りかけてミュンヘンへ、そこで寝台列車に乗り換えてフィレンツェまで8時間の行程です。

 

寝台列車はコンパートメントの両側に三段ベットという仕組みで、狭いことこのうえもありません。寝不足のまま明け方の6時過ぎにフィレンツェ着、もう初めからグロッキーです。

 

なぜこのような「無謀」を企てたかというと、死ぬまでにどうしても観ておきたい絵があったからです。

 

目標のひとつはウフィツィエ美術館にあるフラ・フィリッポ・リッピのマドンナ、おそらく世界でもっとも可憐なマドンナ像でしょう。 

ルネサンス初期を代表するリッピは後のボッティチェリの師匠筋に当たる巨匠ですが、修道僧なのに次々と女性に手を出して破門されたりしています。

 

このマドンナのモデルも破門と引き換えに得た奥さんと言われます。なかなか人間臭くていいですね。

 

これと対照的なのが同時代のライバルとも言うべきフラ・アンジェリコ。

 

こちらはサンマルコ修道院(現在は美術館)の清廉潔白な修道僧でした。

代表的な作品として知られるのは修道院の壁に描かれた「受胎告知」です。

僕はクリスチャンではありませんが、イタリア・ルネッサンスというと、もっぱらこの二作品に魅かれます。

 

祭壇画をはじめキリスト教をモティーフにとった絵画はいずれもおどろおどろしいのですが、これらにはそれがありません。じつにすっきりしています。アンジェリコの作品の淡い色合いには気品があります。構図の取り方もうまい。

 

ヨーロッパの宗教画でいつも奇妙に思うのは、どうしてこんなに不細工なマリアが多いのだろうと思うことです。

 

もっと奇妙なのがまったく可愛くないキリストです。妙にひねこびた顔をした乳児、他人事ながら、こんなものを描いて信者が離れてしまうのではないかと心配するほどグロテスクであったりします。

 

リッピの絵でさえそういう傾向があります。マドンナの可憐な顔に比して、乳児のキリストはあまり可愛くないでしょ。

何だかヘンなのですが、宗教画を観ると、そういう違和感がたびたび起こります。たんに技術の問題ではないように思えて仕方ありません。リッピやアンジェリコはその点でも例外に見えます。

 

とにかくこの2枚の絵だけが目標だったフィレンツェ旅行、他に何の望みもありませんから、あとは娘と街をブラブラ。

 

有名なポンテ・ベッキオ橋や大聖堂、高台にあって街を一望できるミケランジェロ広場なども回ってきましたが、疲れるばかりで、さして感動は湧いてきません。早くレストランかカフェに入って一休みしたいと思うばかりです。もったいない話ですね。

 

気になったのは、滞在二日目に突然夕立が来て、道行く人たちがいっせいに建物の中に逃げ込んだのですが(ずぼらな僕らは初めからカフェに座っていました)、するとどこからともなく傘売りの人たちが続々と現れ、まさに「雨後の筍」ならぬ「雨中の傘」です。黒人系の人が目立ちましたから、おそらく亡命してきたものの職のない人たちが、こうして細々と生計を立てているのだろうと想像しました。

 

最終日はバスでシエナの街まで往復し、22時の夜行列車に乗り込んで一路ライプツィヒへ。しかし帰りの寝台列車は隣のコンパートメントを陣取ったイタリア人の女の子たちが夜を徹して騒ぎまくり、一度注意に行ったものの効き目はなく、あわれリッピのマドンナ像は一夜のうちにかき消されてしまったのでした。

 

 

最後に宣伝ですが、5月には作品社からドイツ・ロマンティクの絵画をテーマにした『風景の無意識』という本を出す予定になっています。ヨーロッパ絵画に興味のある人はぜひ読んでみてください。

 

 

 

教授!本日もありがとうございました!!!

 

たしかにおっしゃるとおり「リッピ」の「キリスト」の顔ヤバいですね(笑)

目が・・・すわってますよ!それに比べて「ヤバいキリスト」を抱きかかえてる天使の顔の何とも言えない微笑みが対照的ですね。

 

私の数年前に100余歳で亡くなった親戚が熱心なクリスチャンで家に遊びに行ったおりには必ず帰り際に「おーーー主よ主よモンを救いたまえーーー主よ主よ」とお祈りをしてくれた事を思い出しました。

 

ヨーロッパの列車旅行っていいですよね日本に住んでいるので特にそう思うのでしょうが、あの車窓の風景は日本ではなかなか経験できませんからねぇ。

 

フランクフルトからパリの東駅までの列車の旅の記憶が甦りました。

 

それでは、教授ありがとうございました!

日本で出版される本の情報詳細が分りましたら、またご連絡お待ちいたしております。

 

次回レポートも楽しみです!!!