小林敏明教授の「ライプツィヒの街から 77 白内障手術体験記」

こんばんわ!モンです

 

ドイツの小林教授からレポが届きました

何と教授が白内障の手術を受けていたそうです

 

そのレポート

それではよろしくお願いいたします。

 

 

 

しばらくご無沙汰をしておりました。

 

じつは去年の秋ごろから視野のボヤケがひどくなり、11月に白内障の手術を思い立ったのですが、街の中心にある眼科センターは予約でいっぱい、僕の番はようやく今年の7月10日と17日でした。つまり予約から手術日まで、なんと半年以上かかったことになります。おかげで手術日までの間どんどん曇っていく左目がほとんど使えないので、ほぼ片目だけの生活でした。

 

細かい字が読めないので、仕方なく(?)ネットでドラマを見続けたのがさらに悪かったようです。とくにまずかったのが、十数年前に国営放送で流行った『ビアンカ』という連続ドラマで、これは最初に出会った男女が延々とくっついたり離れたりしながら、最後にゴールインするという絵にかいたような通俗メロドラマなんですが、ばかばかしいと思いながら、100回目あたりから中毒になって途中でやめられず、結局224回分をすべて見てしまいました。一回分が45分ぐらいなので、全部でほぼ10000分、時間に換算すると168時間、一睡もせずに7日間見続けたのと同じ時間になります。

これでますますひどくなった眼を宥めすかしながらの半年、我ながらあほらしいと思いましたよ。ということで、この間はこのブログの原稿を書くのも控えておりました。ここまでが言い訳です。

 

さて、本題。まず悪いほうの左目の手術が7月10日に行われたのですが、それに先立つ二日前から準備に入ります。処方箋をもらって薬局で点眼薬を買い、それを一日に一回ずつ点眼します。こうしておいて、10日当日の予約時間にセンターに着くと、待合室には同じ境遇のジーサンバーサンが30人ほど不安そうな顔して黙って座ってます。

 20分ほど待っていると、ナースがやってきて点眼、さらに10分ほど経って検査室へ連れていかれ、そこで改めて視力検査。再び20分ほど待ってやっと手術室に案内されます。ここで所持品を預けて、手術着を着せられ、頭にはビニールキャップ、靴履きの足にはビニールソックスが着けられます。

 歯医者の治療椅子のようなところに座らされ(寝かされ)、ここでいよいよ本格的な局部麻酔。腕から注射で安定剤が入れられ、手術する眼に麻酔液がぶっかけられ、15分ぐらいそのままになっていたでしょうか。同じ部屋には他に二人手術の順番を待ってます。

 担当医は有能そうな中年男性医師でした。僕の名前を見ると、さっそく日本について知っていることをいろいろ話しながら、レーザーとコンピューター画像を使ってさっさと水晶体を切り、中の濁ったゼリーのようなものを吸い出します。これが第一ラウンド。続いてここに代用レンズを入れるのですが、まあ、はめ込み式のコンタクトレンズのようなものですね。これが第二ラウンド。二つ合計でほぼ15分から20分ぐらいの長さでしたが、その間中、医師はひたすら話し続けます。

友だちに日本の小説(翻訳)をプレゼントしてもらったけれど、大著なのでまだ全部読んでいない。なんでも昔の宮廷での出来事を物語にしたもののようだと言います。ああ、それならきっと、ちょっとハンサムな若いプリンスが次々に女の子をナンパするヤツでしょうと言ったら、彼もちょっと戸惑ってました。

 

あとは、日本と言えばお決まりのネタの一つ、盆栽が話題になりましたが、これも、まあ日本人は何でもミニチュアが好きですからね、自然の風景や風物を小さくして庭や部屋に置いて喜んでいるわけですよ、とか何とか適当なことを答えながらも、こっちはそれどころではなく、チラチラしたり、ブヨブヨしたり、ワッとなったりする自分の眼のほうが気になります。そうなんですね。この医師のとって付けたような会話はもっぱら患者を不安から逸らそうとしての手術の一環だったのですね。

 

手術が無事終わると、あとは帰ってよしですが、眼帯の付けられた片目には麻酔が使われているので、必ず迎えが必要となります。あらかじめ友だちに迎えと家までの付き添いを頼んでおいたので、その人に連れられて帰宅。眼の中はゴリゴリするけど、それもこの手術にはつきものとか。一晩寝て翌朝またセンターに行くと、朝の7時から30人ぐらいが待っています。これは術後の検診で、一人5分もかかりません。はい、大丈夫ですね。経過も良さそうですと言われて一安心。

 そんな軽い会話を交わして受付に戻ると、手術料の振り込み用紙を渡されます。これを一週間後にもう一度繰り返したわけですが、両目合わせて2500ユーロ(約40万円)ほどの料金でした。レーザーを使わなければ、保険もきくのですが、まあ眼は一生のものと思い、お金には代えられないだろうと、あえて「目をつぶって」高い方を選んだというわけです。僕の年齢ぐらいだと日本でもすでに経験済みの人が多いようですが、どうですか、日独の違いはありますか。

 

付録。(二日目の術後検診での医師の言葉) ああ、そうそう昨日話していた小説はプリンス・ゲンジの物語とか何とかという題でした。(僕の答え) でしょう。だから言ったじゃないですか、スケベなプリンスの話だと。

 

 

 

教授!本日も有難うございました

まだ完治途中なのに申し訳ございません

 

しかしビアンカ168時間

光源氏、ミニチュア好きの日本人

ウケました(笑)

 

練馬も信じられない位の暑さですが

ドイツもシエスタ導入が話題になるほどの暑さだそうで・・・新聞で読みました

 

白内障術後もそうですが暑さにもお気を付けください。

またのレポートも楽しみにいたしております